今回のテーマは「アウト屋」、またの名を「まくり屋」。アウト屋とは、大半のレースで6コースに進入する選手のことで、たとえ枠番が一号艇だったとしても自ら大外6コースに入ります。※反義語は「イン屋」
皆さんもご存じの通り、ボートレースは外枠になるほど不利という事実があります、1コースの勝率は平均50%~70%、対して6コースの勝率は平均2%以下、その差は歴然です。
現代のボートレース戦略は「いかに一号艇で点数を稼いで、いかに六号艇で中間着を取るか」が大事で、自ら進んで大外(6コース)を走るなんてのは基本的にありえません。
ではなぜ、アウト屋と呼ばれる選手たちは進んで6コースを走るのか、絶対不利コースを走る圧倒的少数派である理由とは?6コース専門に現代レースでも戦い続ける個性派のアウト屋を紹介したいと思います。
目次
ボートレースで活躍する!アウト屋の紹介
①:「阿波勝哉」
アウト屋といえば[3857] 阿波克哉(アワ カツヤ)選手だろう、6コースを専門にトップスタートから豪快にまくりを決める姿は印象的で、それに魅せられファンになった人も少なくない。
デビュー当初の新人選手は6コース進入が定番で、その際に先輩レーサーで現役のアウト屋として活躍されている小川晃司選手のプレーを見て自分もアウト屋に挑戦してみようと決意したそうな。
阿波選手の整備は伸び仕様の独特な調整で、チルト上限MAXの3.0まで上げた異次元の伸びでA1級昇格を果たし、2002年には蒲郡で初優勝、2005年には常滑開催のSG笹川賞に出場するなど、6コース専門とは思えない活躍を見せる。
アウト屋はスタートが命という背景から阿波選手は三度のF3を経験し、収入ゼロが無い間は建築関係のアルバイトをするなどかなりの苦労人。その頑張りもあってか、2007年には丸亀で前人未到の6コースから9連勝という偉業を達成する。
持ちペラ制度が無くなってからは、イン逃げ至上主義の流れもあり全盛期ほどの活躍は観られないが、今でも6コースから舟券に絡むなどファンを楽しませてくれています。
地元の平和島競艇場では「チルトサンド(カツサンド)」や「チルト3丼」が販売されたそうな、一時は6コース勝率40%を叩き出したってんだから驚きよ。
②:「澤大介」
[3852] 澤大介(サワ ダイスケ)選手もアウト屋で有名です、先ほど紹介した阿波選手とは同期にあたります。1996年11月21日に津競艇場でデビュー、元々カドからのまくり差しが得意な選手でしたが、2003年頃からアウト屋に転向。
同期でアウト屋の阿波勝哉選手の影響があるようで、伸び型のペラを教えてもらったところ、それを活かす形で調整を進めていると自然とアウト屋に辿り着いたそうです。
阿波選手と比べると頭角を表すまでに時間はかかったものの、2005年にG1初出場、2008年には地元津で初優勝(通算2395走目)を果たします。スタート力がある選手で捲り差しが得意。
フライング休み中に趣味に興じている様子を自身のブログで発信しすぎて、見かねた競艇関係者から「仕事のことも書きなさい!」と怒られた事があるそうな。ちなみに、弟子の坂井田晃選手(3852)は小学校教師から競艇選手に転職した事で有名です(師匠より先に引退)
追記:澤選手がアウト屋の引退を決意
以下理由、6コースを辞める時は引退する時だと思ってレースを走ってきたが現実問題、持ちペラ制が廃止されてから6コースを専門とするアウト屋には相当厳しく、最近だとプライドを語れるような点数(成績)ではなくなってきたので、今後は6コース以外でも戦う事を決めました。
③:「小川晃司」
[3352] 小川晃司(オガワ コウジ)選手はアウト屋の中で最ベテランで、現役のアウト屋では阿波選手、澤選手、小川選手の3名のみ。伸び仕様で調整する二人に対して、小川選手は回り足重視の調整が特徴、実際にレースを見てみると直捲りより捲り差しが目立つのはそういうこと。
ボートレースは上下関係が厳しく、若手の頃は6コースでも経験を積むと内のコースを取りに行って戦わなければいけません。小川選手の場合、コースの主張に必要以上に気を遣ってしまい本来の実力を出せないと悩んでいたところ、それなら自分から6コースから思いっきりスタートすれば関係ないやと戦略転換したのがキッカケだそうです。それが功を奏しA級昇格を果たしています。
ちなみに、アウト屋が同じレースで出走する場合は年功序列で外から走ることになる、2019年2月27日に若松で開催されたBOATBoyカップ個性派王決定戦では一号艇に小川選手、二号艇に澤選手、三号艇に阿波選手という枠番で進入は外から小川選手→阿波選手→澤選手の並びとなっています。
小川選手はアウト屋の中でもスタートの仕方が独特で、ピットアウトしてから外周を回るように助走を付けたままL字に流し込んでスタートしていきます。初めて見た時は「まだそんな位置にいてスタート大丈夫?」と思ってしまいました。笑
50歳を超えてもアウト屋で頑張っているのは冗談抜きで凄いと思う、個人的には舟券相性悪いんだけど今度の機会にでも買ってみようかな。